Legend meets Maestro ! Isaac Vasquez Garcia

そしてオアハカ2日目、メインイベントであるラグの村、ティオティトランへ、Isaac VasquezさんとFamilyの工房訪問へ。 まずはラグデザインのインスパイア源である`MITRA`ミトラ遺跡へIMG_1137 IMG_1139 IMG_1159

今から1200〜1300年前ぐらいに作られたサポテコ(Ruins of Mitra,ZAPOTEC)族の遺跡。素晴らしいレリーフ、それぞれ意味合いがありますが全部に共通してるのは`Symbol of LA VIDA`生命のつながり、永遠に続く、幾何学模様のパターンが繰り返し掘られ生命の力強さを感じる事が出来る空間です。500年程前にスペイン人がメキシコを占領した際、カトリック宗教で統治するのにこういうサポテコ族や先住民の遺跡の上に教会を建設、もともとあったレリーフなど信仰色の強い物は全て排除しました。そんななか、このミトラ遺跡はサポテコ族の美意識が強く残ってる、現代のRug Weaver達のインスパイア源になってます。DSC_0692

教会中、漆喰が塗られた壁から所々見えてる先住民達の力強いレリーフ。

そして、いよいよIsaac Vasquezさんの工房へ!DSC_0686

Legend Meets Maestro ! お二人の笑顔が素敵なお気に入りのショット。

まずは糸を紡ぐところから天然染色(詳しくはBRAND欄にアップします)についてのバスケスさん自身によるデモンストレーションを見ます。

IMG_1173 IMG_1177

こちらがサボテンにつくカイガラムシ`コチニール` BUG IN THE RUG、工房名&ブランド名である`ラグの中の虫`の由来。オアハカの特産品であるコチニール、鮮やかな赤〜オレンジ(ライムの汁をかけると変化)、紫っぽい赤、スペイン人が占領した際、外交の武器に使ったと言われてるコチニール、当時ヨーロッパの貴族達の間で口紅や食紅として重宝されてました。 赤(コチニール)、黒(ウィサーチェ、木の種)、黄色(センポスチール CEMPAZUCHIL/Marygold、マリーゴールドや岩の苔MUZGO)、青(インディゴ)の基本4色(プリンターのインクと同じですね)を使って60色近い色を作り出します。

IMG_1183DSC_0676

ラグのモチーフには幾何学模様的な柄の他にサポテコ、ミステカ、マヤなどメソアメリカ文明の文化、神話に出てくる神々のモチーフなど様々ですが全て彼等のルーツ的な文化だと言えます。太陽や月、水、火、木など自然のモチーフも多く、それぞれに神々が宿る、まるで日本古来の信仰文化(西洋文化のキリストやアラーなど絶対神ではない)を象徴してるようです。

DSC_0658

若かりし頃、70年代はじめ頃のバスケスさん、NY メトロポリタンミュージアムにて

DSC_0670

そして現在79歳になるバスケスさん、まだまだ精力的にラグを織り続け、`織りながら死にたいね(笑)`と冗談混じりに話されますがその眼力はとても力強いです。エリスさん曰く、バスケスさんは完全な`アーティスト`。8人の子供達も全て独立し、立派な織り手になってる。1948年、Pan American Highway(パンアメリカンハイウェイ、アメリカからグァテマラまで、メキシコを貫く道路)が開通し、その近くにあったティオティラン村に多くの人が訪れ、素晴らしいラグの文化が知れ渡るようになりました。それと時期同じく手軽な化学染料が入ってきて70年代になるとフォークロアムーブメントでオアハカのラグが海外にも輸出されるようになりました。そうなると手軽で安価な化学染料で染め、比較的簡単なモチーフを使い、要は利益重視な方向に向かうのは当然なこと、ですが、バスケスさんは違いました。あえて昔の天然染色にこだわり、複雑で伝統的なモチーフを守り、8人の子供達にもその大切さを教え、海外(特にアメリカ)でのデモンストレーションも活発に行った結果、現在の地位があるのだと思います。なんか、日本の濱田庄司さんに通じる物があります。お金にも困ってない、子供達も全て立派に独立、孫の世代も育ってきてる、なにも彼を惑わす事が無い、そんな状況で織るラグに純粋な気持ちが宿るのは当然な事。織りたい柄、出したい色、作品が売れるかどうかではない、今現在、彼の織るラグは人気が高く、主にアメリカのミュージアムやコレクター達が買う超一流品です。しかし、10年来の付き合いがあるので、2ヶ月に1度、訪れる度にいいものを置いててくれる、お金の続く限り、唯一のコレクションとして、買い続けたいと思います。

そして、現在うちのオーダー(ラグ、ベスト)を作ってもらってるのがこちらIMG_1215

ファウスティーノさん。Isaac Vasquez Familyであり、バスケスさんの意思を引き継ぐ一人。奥さんがルビンダさん(バスケスさんの娘)。こちらの工房では主にベストを織ってもらってます。Vasquez Familyの中で最もセンスが良く、色使いが抑えめ、伝統的なデザインがとてもうまい、自分と年齢も近く、なんかあうんですよね、いろいろリクエストも聞いてくれるし、オーダー会での複雑なオーダーにも対応してくれる、いい信頼関係が出来てると思います。昔、バスケスさん本家でラグを販売してた時期、知らず知らず買い続けてたのがほとんど彼と奥さんの織った作品、それがきっかけで数年前独立して工房を構える際、ベストをお願い、ベスト用に糸を紡いでもらい、試行錯誤の末、1枚のラグから1着のベスト、まさにA RUG IN THE VEST です。

IMG_1229

そして今、15周年を迎える神戸店スペシャルを作成中(サンプルが凄く楽しみ)、右奥に見えるのは同じサイズのラグ、椅子敷きに使えるサイズを別注、あの芹沢さんの椅子敷きデザインもメキシコ、オアハカ ラグからインスパイアされた物が多く(実際、芹沢さんのコレクションにはメキシコやアフリカの物が多い)デザインや色目など、他のラグを多く目にしたエリスさん`Definitely Serizawa !`と、今度は芹沢さんからインスパイアされてオアハカで物作りするのもアリですね。