BUZZ RICKSON`S バズリクソンズ、アメリカンカジュアル好きなら知らない人はいない、日本を代表するフライトジャケットの代名詞的存在。
1980年代後半、ビンテージブーム、デニムとフライトジャケットに目覚め501XX, MA-1, A-2, G-1, など憧れの存在、10代後半の若者に買える訳がなく、雑誌を穴のあくほど見て、知識だけを吸収し、古着屋を見て回る毎日でした。60年代後半〜70年代前半頃、ベトナム戦争時のモデルは比較的安く、USNフロントパンチング、ゴートスキンのG-1やポケットフラップなしのMA-1に501 66モデル、アメリカ製のコンバースやバンズが当時のスタンダードでした。
しかし、A-2とXXへの執着はしぶとく、XXは数本所有できましたがA-2だけはなかなか気に入ったものとの出会いがなく、だんだんビンテージ品よりウィルスガイガーなど現行品で良い物に惹かれていきました。リアルマッコイズ、ロストワールド、エアロレザー、イーストマン、90年代には上質なA-2を復刻生産するメーカーが多数ありました。
コレクターではなくあくまで`着用派` ビンテージのA-2は気兼ねなく着る事は難しい、現行品で良いものを作ってる会社に興味を持ち、インポートショップを見て回り、ビンテージからだんだんアメリカのインポート物に興味が出始めたのもその頃です。
ナイロン製のフライトジャケットに関してはインポート品だとアルファかコリンス、スピワックぐらいでMA-1の前身、50年代のB-15Cに匹敵するものはなかなかない、そんな中、日本にありましたバズリクソンズが! 当時、レプリカフライトジャケットでレザーだとマッコイズ、ナイロンだとフェローズかバズリクソンズ、個人的にはバズリクソンズが好きでしたね、特に実名復刻シリーズが抜群にカッコいい!細かいデティールが最高なんです。
そして、ひょんなことからバズリクソンズの親会社、東洋エンタープライズ様と取引する事になり、挨拶がてら、行ってきました。
場所は両国、東京の下町、上野アメ横にも近く、戦後間もない頃、アメリカのGI達がはいてたジーンズをGパン(本当ならばJeansなのでJパン)と呼び、アメ横を中心にアメリカンカジュアルが広まっていった1960年代、`みゆき族`や`VAN`など、そんな頃にアロハシャツを作られてたと聞きました。歴史と伝統がある凄い会社にお邪魔してきました。
担当のK田さん、仕事の話自体は15分ぐらいで終わったのですが、話が弾み、結局1時間半ほど、いろんな話をお聞きしました。その中でも一番興味深かったのが2011年にあのRRLとコラボした話です。
タグをよくご覧ください`CONTRACTED BY BUZZ RICKSON CO`と!おそらく世界初でしょうね、あのラルフローレン、RRLが自社ブランド以外のブランド名を商品に記載したのは! アメリカンカジュアルの大御所、ラルフローレン、その中でもラルフとリッキー(ラルフの妻)の頭文字RRにLaurenでRRL、彼自身のこだわりが詰まったライン、1993年デビュー、衝撃でしたね!今まで見た事なかったアメカジ、特にビンテージへの新しい解釈が! こだわりの物作り、世界中のいろんな工場で良いものを作るRRLですが、一切自社以外のロゴは出さない事で有名、あくまで完全なOEM、ましてや他社ブランドを記載するなんてありえない、そんなRRLが物作りで認めたのがバズリクソンズ、フライトジャケットのデティール、品質はいくらRRLが完全別注したところで、わかる人が見れば`バズリクソンズ`製だと。
K田さん曰く、はじめのコンタクトが元ビームスのKヶ江さん(現アートマサシヤ)、すでに退社されてアートマサシヤを切り盛りされてる方からまさかRRLの話が来るとは思わなかったそうで(笑)。日本でデニムを生産してたRRL、次に目を付けるのはフライトジャケット、自然の流れですよね(笑)、RRL側からの要求は凄いもので、基本的にほぼ`NO`と答えたK田さん。おそらく`あーしろ、こーしろ`とデザイン盛りだくさんのフライトジャケット、あくまでOEM的な解釈、工場として使うつもりが、逆にバズリクソンズの品質、オリジナルへのこだわり、日本人的な職人気質にやられたんだと思います。最終的に出来上がったのがこちら
MA-1の前身、B-15Cモデファイト。細かいところにRRLらしいこだわりもチラホラ、わかる人だけにわかれば良いんです。自己満足の世界です。
襟のリブと裾、袖のリブ色の違い、モデファイトらしい襟のステッチあと入れ、CROWNジッパー、レザータブ、レザー酸素ボンベタブ
裾リブにも後入れステッチが
友禅染の職人による1点1点雰囲気がちがうスコードロンパッチ
実はこの商品、2011年12月、たまたまサンフランシスコのRRLに行った際、衝動買いしてしまった物で、後にこの商品のエピソードを当事者のK田さんから直接お聞きする事ができて、`物`と`人`のつながりって面白いですね。2010年後半にRRLとのプロジェクトが始まり、色々話を詰めて2011年3月から生産、8月ぐらいの納品を予定してた矢先、3月11日に大震災が起こり、工場がダメージを受け、生産ができない、なんとか再開できたが納期が間に合わない、RRL側も状況は理解してたのでギリギリ12月のホリデーシーズンに間に合うぐらいに納品、海を渡ってサンフランシスコの店頭に並んだ物を購入してきた訳です。
このB-15C以外にA-2、N-3Bと3型、どれも素晴らしい商品でしたね。ただ、アメリカ人向けなのでサイズが大きいものが多く、Sは少なかったです。A-2にはホイッスルがついてましたもんね、渋いっすね、その辺のデティールが!
近年のバズリクソンで印象深いのがこちら、`William Gibson collection`
SF小説家、ウィリアム ギブソン`Pattern Recognition パターン レコグニション`の中で登場する`バズリクソン製のブラックMA-1`、あくまで小説の中に登場する架空のMA-1ジャケット、当時バズリクソンでは生産されてたかった`黒`のMA-1、ウィリアムギブソンコレクションとして発売されたときは嬉しかったですね!予約して買いました。黒のMA-1といえば裏がオレンジ、80年代のパンクやスキンズのイメージでしたがオールブラックのMA-1、しっかりした作りの1着、バランスのいいLONG丈、名品です。
このエアフォースブルーのMA-1、厳密にいえばB-15C MOD, B-15Cタグの上に白いタグがついててLONG丈のモデルがあれば欲しいですね。。。
ヤバいです。。。ANJ-3A…